好きな人が現れても……

紺野君に片想いのことを言ったのは間違いだったかもしれない。
話さずにいて、テキトーに誤魔化しておけば良かった。


話したことで彼の持ってる正義感に火を点けたのではないか。

要らない選択肢を一つ増やされてしまい、私は益々心の行く場所を見失ってしまった。



見てもくれない人と手を差し出す同期の彼。


自分の心が指し示す場所はどっちにすれば幸せなのか。


立ち止まるのも進むのも難しいな…と悩みながら、トボトボと俯いたまま歩き続けた。