好きな人が現れても……
「実は、そんな料理上手な横山さんにお願いがあって」
課長はそう言うと、自分のお弁当を食べ始める。
料理上手と褒められた私は恐縮しながら、お願い?と聞き返した。
「来月、親子クッキング教室というのが幼稚園で開かれるんだ。それに出ないといけないんだけど、俺は料理は不得意でね」
日頃は課長の実家で食事をするのが常らしい。
ご両親とは同居ではないけど、スープの冷めない距離に部屋を借りてるのだそうだ。
「妻が病気だと分かった頃に引っ越したんだ。何かと助けてもらえるだろうと判断して」
「亡くなった奥さんのご実家は?」
「うん……そっちにも色々と世話になってる……」
言葉を濁すように声を発し、課長は少しだけ無言になった。
何か複雑な気配を感じて、そうなんですか…と呟くだけにしておいた。
会話が途切れてる間に課長は自分のお弁当を食べきったらしい。
さっさとランチケースを片付け始めるのを見て、早いですね…と声をかけた。
「ああ、少ないからね」
確かにボリュームはないだろう。
オカズも子供向けのままだしね。
課長はそう言うと、自分のお弁当を食べ始める。
料理上手と褒められた私は恐縮しながら、お願い?と聞き返した。
「来月、親子クッキング教室というのが幼稚園で開かれるんだ。それに出ないといけないんだけど、俺は料理は不得意でね」
日頃は課長の実家で食事をするのが常らしい。
ご両親とは同居ではないけど、スープの冷めない距離に部屋を借りてるのだそうだ。
「妻が病気だと分かった頃に引っ越したんだ。何かと助けてもらえるだろうと判断して」
「亡くなった奥さんのご実家は?」
「うん……そっちにも色々と世話になってる……」
言葉を濁すように声を発し、課長は少しだけ無言になった。
何か複雑な気配を感じて、そうなんですか…と呟くだけにしておいた。
会話が途切れてる間に課長は自分のお弁当を食べきったらしい。
さっさとランチケースを片付け始めるのを見て、早いですね…と声をかけた。
「ああ、少ないからね」
確かにボリュームはないだろう。
オカズも子供向けのままだしね。