好きな人が現れても……
私がノロノロと食事をする間、課長はノンビリとお茶を啜っていた。
簡単にできる料理の候補を教えながら食べ終え、それでは…と自分が先に立ち上がった。
アイアンベンチから離れて歩き出すと、後ろから課長が横山さん…と呼びかけてくる。
振り向くと課長も立ち上がってて、その頭が項垂れて旋毛が見えた。
「本当に有難う。恩にきるよ」
お礼を言うと顔が上がり、真面目そうな目が私を見つめる。
いつも自分のことを見てくれたら…と願う気持ちが叶って、天にも昇りそうなくらい嬉しい。
「いえ。じゃあまたレシピとか詳しく書いて持ってきます」
親子クッキング教室は二週間後。
土日で練習すると言うので、それまでにレシピを作っておきますと約束した。
「頼むよ」
(課長のお願いなら何でも聞きます!……だって、好きだから)
言えない言葉を飲み込んで会釈をして逃げた。
親睦会の夜に啖呵を切って良かった。
自分の失態も役に立つじゃん…と思いながら、エレベーターに乗り込んだ。
簡単にできる料理の候補を教えながら食べ終え、それでは…と自分が先に立ち上がった。
アイアンベンチから離れて歩き出すと、後ろから課長が横山さん…と呼びかけてくる。
振り向くと課長も立ち上がってて、その頭が項垂れて旋毛が見えた。
「本当に有難う。恩にきるよ」
お礼を言うと顔が上がり、真面目そうな目が私を見つめる。
いつも自分のことを見てくれたら…と願う気持ちが叶って、天にも昇りそうなくらい嬉しい。
「いえ。じゃあまたレシピとか詳しく書いて持ってきます」
親子クッキング教室は二週間後。
土日で練習すると言うので、それまでにレシピを作っておきますと約束した。
「頼むよ」
(課長のお願いなら何でも聞きます!……だって、好きだから)
言えない言葉を飲み込んで会釈をして逃げた。
親睦会の夜に啖呵を切って良かった。
自分の失態も役に立つじゃん…と思いながら、エレベーターに乗り込んだ。