ワンス・アポン・ア・ナイト
ふっと目を覚まして、寝ていたことに気づきました。
寝台には私ひとり。
首を巡らすと私の顔を覗き込むあなたと目が合って……。
あなたは顔を赤らめて逃げ出し、床に跪きました。
「あまりに遅いので寝てしまいましたわ」
身体を起こして責めると、あなたは更に頭を深く下げました。
「はあ、すみません」
「いいから早くしてくださらないかしら?」
眉間に皺を寄せて催促しても、あなたは全然動こうとしません。
「ちゃんと説明は受けましたわね?」
「……はい」
ここに来る前、隣室で淡々と語る声がしていました。
王家の直系が私しかいないこと。
叔父でもある夫では、子どもができないらしいこと。
外見的要素が夫と同じで、優秀で、性格的問題もないあなたが、国中から選ばれたこと。
たくさんの条件と引き替えに、あなたは私に子を授けるため、今夜ここに連れて来られたはずでしょう?
「まさか方法を知らないの?」
「いえ、それは、……知っています」
「では問題ありませんわね」
ほっと溜息をついて、私は再び寝台に身体を沈めました。