いつかまた。【完】


「宝と話したかったから」




俺がそう言うと俯いて





「話すことなんてないよ?だって、全部本当のことだもん」





「だから何がだ?宝のお父さんが兄貴を殺したことか…?」





「そうだよ…。あの日親父は拓のお兄さんを殺した、ごめんね?私の親父のせいで…もういい?」






「待てよ、どうして…名前を偽った?」




「言えるわけないじゃん!!言ったらバレちゃうかもしんない、そんなの嫌だったから」






「バレるのが嫌だったのに、なんで今俺から逃げようとしてるんだ?」







「一緒にいるのが辛いの!!どうしていいか分かんない…なんで?拓はお兄さんを殺した奴の娘を前にしてるんだよ?なんで私の家に来たり、名前を呼んだりするの?」




そう言って泣き出す宝




俺はそんな宝を胸に閉じ込めた




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