羽をくれた君へ。
魁音はびっくりしたように私を見てる。


初めて作った私の歌は魁音に向けて作ったもの。


それに、私の気持ちを歌った。


届くといいな。


そう思って歌ったのは初めてだった。


ギターを弾き終わると拍手が起こった。


私は嬉しくて泣きそうになった。


「・・・・・・・どうだった、魁音?」


私がそう言うと、まだ驚いてるらしい魁音はポカーンとしたまま。


「・・・・・・・・俺いらないじゃん。」


そう言って笑い出した。


「だって!歌も歌えて、自分でギター弾けるならもう俺いらないよ!!ふっ、あははは!!やっぱり雫凄いよ。感動した。」


魁音にそう言って貰えて嬉しかった。


でも、違う。


そうじゃないの。


「1個だけ、違うよ。魁音。」


「違う?何が?」


「俺はいらないってこと。・・・・・・違う。私は魁音と一緒にギター弾きたくて教えてもらったの。だから、・・・・・・いらないなんて言わないで。」


私の目からは自然と涙が流れた。

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