羽をくれた君へ。
あぁ、雫。


俺が入院して2週間くらいだよな?


そろそろあやしいとか思ってると思う。


でも、病室に来ないのはリクと智兄が誤魔化してくれてるから。


だよな。


本当は、


本当は、


今すぐにでも雫に会いたい。


でも、


悲しませたくない。


俺は、大丈夫。


雫は笑ってて。


「魁音君!!聞こえるかい!?」


担当医の先生が俺の耳元で叫ぶ。


「うん。・・・・・・・聞こ、える。」


「あぁ、良かった。・・・・今から治療を始めるよ。」


先生、俺わかるよ。


その治療しても、助からない。


さっきまでの息苦しさはなくて、妙に落ち着いてるんだ。


でも、大きく息を吸えなくて。


「そうだ!魁音君の家に連絡を入れてくれ。」


「はい!!」


やっぱり俺もうダメじゃん。


っていうか、母さん来るのかな。


来るわけないか。


「あっ、脈安定してきました!!」


どうやら、色々考えていたら脈が正常までとはいかないけど、ちょっとだけ良くなったらしい。


さっきよりも周りの音が聞こえる。


「魁音君!諦めちゃいけないよ!!まだ、奇跡なんて起こせるんだ。」


俺は先生になにか言おうとしたけど、うまく声が出ない。


だから、口パクで・・・・・・


「わかってる。」


そう伝えた。


「・・・・・・・・そうか。なら、大丈夫だな。」


伝わったみたい。


そして、


急に眠くなってきた。


「魁音君!?・・・・寝てしまってはいけないよ!!」


分かってるよ。


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