羽をくれた君へ。

そうじゃなかったら、初めて会ったときに俺と同じだなんて言わない。


だから私は魁音が自分の事を話してくれるまで待つ。


魁音とは友達なのかな？


親友って訳じゃないし。


言葉にできるような感じじゃない。


強いていえば、なくてはならない存在。


そう、思う。


電車から降りると家に向かって歩く。


さっきよりも足取りが重い。


だって、あんな場所に帰るんだから。


また、今日も同じことを言われる。


私は何も言わずに自分の部屋に行く。


リビングに行くと綺麗な服を着たお母さん。


「あっ、雫！お母さん今日友達とご飯食べに行くからこれ温めて食べてね。それじゃ！」


慌しく私の横を通り過ぎて家を出ていく。


嘘ばっかり。


何が友達だよ。


本当は分かってる。


新しい男がいること。


そして、その男に私の存在を教えていないこと。


そりゃ子どもがいるなんて言ったらせっかく見つけた男の人はいなくなるかもしれないしね。