羽をくれた君へ。
だから、リクは雫にギターを教えたのかもしれない。


雫。


プラネタリウムも、水族館も、スタジオも。


美紅さんの店も、電車も、バスも。


全部の思い出の中に君がいる。


いつも雫の笑顔が浮かんでくる。


だから、


笑ってて。


俺雫の笑った顔大好きだから。


ううん。


笑顔だけじゃない。


負けず嫌いなところも、意地っ張りなところも、優しいところも全部全部。


雫のことが好き。


絶対言わないって決めたけど、手紙ならいいだろ?


本当はずっと言いたかった。


雫が好きだって。


でも、俺はいつかいなくなるって分かってたから。


言わなかった。


それとね、最後に言いたいことがある。


家族を大切にして。


それと、


絶対プロになれ。


雫の声をこの世界中に響かせて。


俺がいなくても雫はやれるよ。


どこまでも行けるよ。


だって、


雫には羽があるから。
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