羽をくれた君へ。
「そうだぞ。今、雫にはたくさんの人がいるんだ。心配すんな。雫は1人じゃない。」
智兄が言った。
自分の中でもだんだん落ち着いてきて、冷静に考えられるようになった。
みんながいてくれる。
そして私は、夢を叶えなきゃいけない。
私の夢でもあり、魁音の夢でもある。
1人じゃできないけど、大切な人がいる。
何より大事な人達がいてくれる。
魁音への気持ち。
届けたくても魁音はいない。
なら、
魁音に届けるためには歌しかない。
私が歌うことでこの空のどこかにいる魁音に聞かせるんだ。
私はここにいるって。
私は目を閉じて思い出す。
初めて魁音のギター似合わせて歌った時のこと。
ロックフェスで言った私の夢。
君と約束したプロへの道。
私が初めて弾いたギター。
君と歌った瞬間。
あぁ、大丈夫。
魁音が私の声を作ってくれたから。
私の声の可能性を信じて、叶いもしないような夢を知らないうちから後押ししてくれてた魁音。
私はそんな魁音に歌で恩返ししなきゃ。
夢を叶えなきゃ。