羽をくれた君へ。
そう言って入ってきたのはリクだった。


そう、リクは智兄の友達なんだ。


「初めまして。智哉から君のことは聞いてるよ。ギター、やるんだろ?」


第一印象はチャラい。


でも、ギターの話が分かるってことはこの人もやるんだろうか。


「リクは大学の友達とバンド組んでるんだよ。それで、この前音楽スタジオ作る話になって。それでお前のこと話したら、安く使わせてくれるって言われてさ。凄いだろ?楽器も何もかも揃ってんだから。」


音楽スタジオを、作る?


自分のバンドの活動場所が欲しいために作っちゃうの?


この話を聞いた時、俺は馬鹿なんじゃないかって思った。


「バンドやるためにそんなにお金かけていいの?後で失敗したらどうするの?」


俺の質問にリクさんは笑いながら答えた。


「あははは!!さすが、真面目だなー。例え失敗でもそれはそれで経験じゃねーか。やらないで後悔するより、やって後悔した方がいい。俺が聞きたいのは、そのギター持って練習しに来るかどうかだ。・・・・・・・・お前ん中に譲れねぇ気持ちあんじゃねーのか?」


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