羽をくれた君へ。
「いい、の?使って。」


「いいって言ってるだろ。ほら、さっさと受け取れ。」


俺はリクからエレキを貰った。


このギターは俺を変えてくれた。


ぽっかり空いた心にこのギターが埋めてくれたみたいだった。


「ありがとう。俺、大事にする。」


俺が笑うとリクと智兄が驚いた顔で見る。


「えっ、何?」


2人は顔を見合わせて言った。


「やっと、笑ったな。魁音。」


「やっぱりお前を変えたのはギターだな。それ、大切にしろよ。」


あっ、俺、ずっと笑顔引きつってたんだ。


そっか。


でも、このギターがあれば何でもできる気がする。


これが俺とリクとの出会い。


リクと美紅さんは病気のことを知っている。


そして、体調が良ければ毎日ここに来た。


リクがいない時はギターを持って美紅さんの店へ行く。


片時もギターを話さなかった。


そして、高校2年の冬。


雪の降る日、俺は雫と出会ったんだ。

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