羽をくれた君へ。
その日は美紅さんが遅くなると言ってまだ店が開いてなかった。


俺は店の前で待つことにした。


寒いけど、暇すぎて俺はギターを取り出した。


店の前に座ってギターを弾く。


世間はクリスマスモードだから、駅の裏の路地から人が来ることなんてない。


俺は自分のアコギを思いっきり弾く。


雪の中で弾くのもいつもと違う感じで面白かった。


すると、路地の方から誰かがする音。


俺はギターを止めて路地の方を見る。


そこから来たのは、猫でも酔ったおじさんでも無い、リュックを背負った女の子。


何でこんな時間にここにいる訳?


もう、女の子が出歩くような時間じゃなくね?


女の子はその場に立って俺を見ているから無視してギターを首にかけた。


深呼吸して、俺はギターを鳴らす。


女の子を見るとびっくりしたように目が見開いている。


そういう反応されるの久しぶりだな。


俺は立ち上がってギターを思い思いに鳴らす。


すると女の子は俺に近づいて、歌い出した。

< 41 / 183 >

この作品をシェア

pagetop