羽をくれた君へ。
初めて聞いたその声は俺を虜にした。


即興なのに俺のギターについてくる。


俺は面白くてギターを止めなかった。


この子、絶対凄いことになる・・・・・・


俺は直感で思った。


ギターを止めると女の子にプロかと聞いた。


女の子は違うと言った。


名前は雫。


雫の声とは真逆に瞳は真っ黒だった。


なにか抱え込んでいるんだろう。


でも、それよりも俺はこの声に夢中になった。


この声を手放したくなくて俺と一緒に歌って欲しいって言った。


混乱させたけど、俺は本気だった。


それと同時に雫の抱えているものを救ってやりたいって思った。


それからは毎日美紅さんの店で会った。


俺が学校に行ってないのも、余命のことも、病気のことも雫には話さずに。


俺のギターに合わせる雫の声。


俺は久しぶりに心の底から笑っていた。


雫のことをリクに話すと会ってみたいって言われたから、リクに話した次の日雫を連れていくことにした。


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