羽をくれた君へ。
「私じゃなくて、本当は妹に生きてて欲しかったんだよ。・・・・・・・2人は全く妹のことを話さないの。」


そこまで話すと美紅さんがカフェモカを出してくれた。


「辛いこと聞いてごめんね。でも、あんたは1人で抱え込みすぎよ。私たちがいるんだから頼りなさい。」


「そうだよ。・・・・・雫、迷惑じゃないから苦しかったら話してよ。俺が役に立つ訳じゃないけど、なんにもしてやれないわけじゃないから。」


「・・・・・・・・あり、がとっ。」


妹が亡くなってから誰かに頼れなんて言われたの初めてだった。


「でも、親に何か言わないとそれは変われないわよ。・・・・・・・雫からも何か言ってみたらいいんじゃない?」


「何度も考えた。でも、言えない。まだ、そんな決心出来てないの。」


私の言葉であの2人がどうなるのか。


今より酷くなるかもしれない。


それが怖い。


「ゆっくりでいいよ。」


「・・・・・え?」


「雫が言えるタイミングで言えばいい。苦しかったら俺のところに来ればいいだろ?」


< 51 / 183 >

この作品をシェア

pagetop