羽をくれた君へ。
「行きたいところ?」


「うん。だからさ、一緒に行かない?」


「うん。いいよ。どこ?」


「それはお楽しみー。じゃあ、また明日ね!!」


そう言うと1人先に店を出ていった魁音。


美紅さんの顔を見るけど、私も知らないっていう表情だった。


私もお店を出て駅に向かって歩く。


いつもより全然心が楽。


電車に乗ろうとした時、ふと反対のホームを見ると、・・・・・・・・・・仲良く手を繋いで笑っている母親の姿。



「・・・・・・・・・ハハッ。ここで見ちゃうなんて。」


私は目線を外そうとするけど、その場に立ち尽くしたまま何も出来ない。


さっきまで、心が楽だったのに、一瞬で逆戻り。


そして・・・・・・・目が合った。


一瞬、とまどった顔をするも男の人に話しかけられると笑顔に戻った。


今、私は娘として見られていないんだ。


私は電車に乗ってヘッドホンをつけた。


何も聞きたくない。


何も見たくない。


家に帰ったらお母さんはなんて言うんだろう。


本当に家族が壊れる。

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