羽をくれた君へ。
真っ黒な瞳の裏にある微かな希望。


あんな声を持ってるのに、瞳は真っ黒なんて。


「じゃあ、お前はその瞳を直したいって思ったんだろ?・・・・・・・なら、お前に出来ることは一つじゃねぇの?」


俺に出来ること。


「何、それ。」


「・・・・・・・・お前が、雫をプロにさせてやんなきゃ。」


俺が、雫を?


「だって、お前がスカウトしたんだろ?それに、本人が自分から歌いたいって言ったなら尚更だろ。・・・・・・・お前が約束破るとかなんでそんなこと言ったんだとか、今は違うだろ。まずは、雫をプロにさせてやることだろ。お前に出来ることは。」


俺が雫をプロにする。


・・・・・・・・・・そっか。


俺は、死ぬかもしれないけど、雫はここで生きるんだ。


なら、俺は雫のために出来ることを全部しなきゃ。


「ワケありなんだろ。雫。なら、お前が出来ることをやってやれよ。お前が人の人生を変えるかもしれねぇぞ。・・・・・お前が雫に変えてもらったように。」


「・・・・・・・恩返し、みたいな?」


「まぁ、俺が言えるのはここまでだな。」


< 93 / 183 >

この作品をシェア

pagetop