羽をくれた君へ。
俺はどういう顔で話したらいいんだ?


なんて言えばいいんだ?


咄嗟に出たのは言葉じゃなくて、笑い声だった。


「あはははは!!びっくりした!?俺情けないでしょ。腕に点滴されて、こんな服着せられて。あぁーーー、だから見せたくなかったのになーー。リクの奴なんでも言いやがって。」


下手くそな嘘。


これで雫のことを騙せるわけない。


「・・・・・・・魁音。なんで入院してるの?」


ほらね。


なんでも見破るだから。


「え?何が?俺別にそんな大変な病気じゃねーよ?」


「嘘っ!!とぼけないで!!」


急に雫が立ち上がった。


こんな顔の雫、初めて見る。


あーあ。


言わなきゃいけねーよな。


「・・・・・俺、心臓の病気なんだ。」


ほらね。


だから言いたくなかった。


君に悲しい顔をさせてしまうから。


雫は立ったまま俺を見ていた。


だんだん瞳が潤んできて、今にも泣きそう。


「でもね、そんなに大変な病気じゃないんだよ?1年に1回、こんな感じで急になるんだ。だから、これが良くなったら後は退院出来るし。」


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