キミとひみつの恋をして
「悪いね、いきなり。これ飲み物とかどうぞ」
「ありがとうございます」
鞄を隠して数十秒後、一条部長はやってきた。
差し入れを受け取った二ノ宮は、自分の部屋に招き入れる。
2人増えて、六畳程の二ノ宮の部屋が急に狭く感じる中、部長がニコニコしながら私を見た。
「こんにちは、桃原さん。結城が誘ってたんだって?」
明るく爽やかな声で問いかけられて。
私は、打ち鳴らされる鼓動を静めるように、笑顔を作る。
「そうなんです。部長と二ノ宮に教えてもらえたら捗るかなと思って宿題持って来ちゃいました」
甘えちゃってもいいですかと尋ねると、一条部長は「役に立てるといいけど」と笑ってから。
「それにしても、2人って普段からこうして会ってるのかな?」
探るように目を細めた。
ピタリと、私たちの動きが止まる。
「もしかして、付き合ってたりしてね?」
「「ないです!」」
二ノ宮と声をハモらせて否定すると「仲良いね」と余計怪しまれてしまった。
そこに、結城が「なあ!」と明るい声を発した。
「俺、ゲームやりたいなー」
「ああ、いいよ」
二ノ宮は少し落ち着かない様子でテレビのリモコンを手にする。