キミとひみつの恋をして
夕焼けの色が部屋に差し込んで暫くの後。
「桃原はお兄さんが迎えにくるそうなんで」
「そうなんだ。じゃ、俺たちは先に帰るけど、くれぐれも、変なことのないようにね」
「もちろんですよ」
一条部長と結城が先に帰ることになり、私は二ノ宮と玄関に立って2人を見送った。
ゆっくりと玄関の扉を閉めると、ドッと疲れが押し寄せる。
どうやら二ノ宮も同じらしく、部屋に戻った途端、彼は黒と白のストライプ模様のシーツに包まれたベッドに倒れた。
「疲れた……」
「同じく……」
ベッドに腰掛けて同意してから、自分の失態を思い出し、枕に顔を埋めた二ノ宮に謝る。
「あの、ごめんね。疑われるようなことして」
「あー、あれね。あれは凍るかと思ったほどヒヤッとしたわ、ハハ! でもまあ、ああいうのは桃原が俺の彼女なんだなって実感できて悪くなかったかも」
「余裕だね……」
「危機は去ったからね」
二ノ宮はそう話すとベッドから起き上がる。
そして、背伸びをしてから微笑んで。
「とりあえず、腹ごしらえしようか」
私を夕食に誘った。
断る理由もないので、頷いた私は彼と共にキッチンへと向かう。