キミとひみつの恋をして


「どうぞ……」


緊張を抑えようとしているせいで、少しそっけない話し方をしてしまったけど、彼は気にした様子もなく「ありがと」と、私の隣に潜り込んできた。

……ずっと、思ってたことだけど。

二ノ宮は女の子と接するのに慣れてるんだろうか。

そもそも、私は二ノ宮が初めて彼氏だけど、二ノ宮は?

そういう話をしたことなかった……というか、勝手にいたんだろうなと思っていた。

だって、そうじゃなきゃ。


「なんかさ、修学旅行の時のこと思い出さない?」


こんな風に布団に入ってきて、スマートに抱き締めたりできないと思うのだ。


「そ、そうだね……」


遠慮がちに抱き締め返すと、二ノ宮の手が優しく私の背中をさする。


「緊張してる?」


問われて、少しの間の後に「ちょっとだけ」なんて強がって零せば。


「じゃあ、それ、解せるかわかんないけど、あることを白状するよ」


二ノ宮は抱き締める腕に力を込めると言った。

「俺も、緊張してる」と。


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