キミとひみつの恋をして


──ガラガラと重い扉を引いて、ジャージに着替えた私は放課後の体育館に足を踏み入れる。

すでに柔軟を始めている部員たちに挨拶をして、私も支度を始めた。

この体育館は第一体育館と呼ばれていて、3階建てになっている。

バスケ部がいつも使用しているのは2階のフロアだ。

今日のメニューはストレッチが終わり次第走り込みがあり、体育館に戻ったらシャトルランやパスの練習などがある。

本来ならウインターカップ予選の為のメニューに変わる頃なのだけど、インターハイで4位の成績をおさめた為、シード権を獲得した冬高は本選からの参加となった。

なので、まだしばらくは本格的な試合前の練習メニューではないようだ。

と言っても、各自自主練で自分のたちの弱い部分を克服するようにすでに動いてはいるらしい。

二ノ宮もスタミナをつける為に、ウインターカップに向けて走る量を増やしているのを、つい最近本人から聞いたばかりだ。

やがて、部員全員が揃い、走りに出るのを見届けてから、私はドリンクやタオルの用意をした。

いつもは一条部長を先頭に続々とみんなが到着する。

今日も同じように部長が1番に体育館に戻ってきて、ありがとうと口にしながら私の用意したタオルで汗を拭いた。

続いて息を切らしながら䋝田先輩や結城たちが戻ってきて、少し遅れて二ノ宮も到着。

床にヘタリ込む二ノ宮にタオルとドリンクを渡すと、彼は呼吸を荒くしつつも「サンキュ」と笑顔で応えた。

ああ、もう。

その可愛い笑顔、反則だよ。

こんなの毎日向けられて、好きにならない女子がいるだろうか。


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