キミとひみつの恋をして
1年の頃から王子様みたいだとか騒がれてるけど、本当にその通りだと思う。
だから、手の届かないような存在の二ノ宮が自分の彼氏というのは、実は夢なのではないかと疑うことが時々あったり。
夢なら覚めないで、なんてよくあるセリフだけど、まさにそれだ……と、とりとめもなく二ノ宮のことを考えながら他の部員にもタオルやドリンクを配っていたら。
「桃原さん、三輪が調子悪いみたいだから任せていいかな?」
部長に声をかけられ、彼が指差す方を見ると、そこには床に仰向けに寝転がって息を乱す三輪君がいた。
私は頷いてドリンクとタオルを掴むと三輪君に駆け寄り、傍らで膝をついた。
「三輪君、大丈夫?」
「はぁっ……へ……いき。最近、疲れやすいだけだから」
特に病気とかそういうのじゃないと言いながら、私の手からタオルを奪い取ると額の汗を拭う。
疲れやすい、か。
確かに最近の三輪君はパフォーマンスが落ちてる気がしていた。
でも、それは三輪君に限ったことではなくて、夏という気候のせいで不調を感じる部員は時々出るのだ。
今の状態だと、脱水症状なのかもしれないと考え、ゆっくりと状態を起こす彼に、とにかく水分補給をこまめに行うように伝える。