キミとひみつの恋をして
「ありがとうございました!」
両校の部員が挨拶をし、その日の練習試合は怪我人も出ず無事に終了した。
試合の結果としてはギリギリで冬ヶ崎の勝利。
各々課題の残る試合だった為、予選開始までに各自意識して練習していくようにと監督から指示があった。
ちなみに、うちの監督はちょっと強面の30代独身男性だ。
強面の割に優しいんじゃないかというほのかな期待混じりの予想を裏切る、内面もなかなかの強面な人である。
でも、厳しさの中に隠れた生徒への情熱と信頼を感じるので、監督を嫌う生徒はいない。
制服に着替えた私たちは、監督を先頭に最寄り駅を目指して歩く。
二ノ宮は私の前を、一条部長や䋝田先輩と並ぶように歩いていて、会話が聞こえてくるんだけど……
「あれ? 圭介って年上好み?」
「ちげえちげえ。あの人は胸がでかいのがいいんだよ」
「そこの判断なんだ」
どうやら好みの女の子の話をしているようで。
「なあ、千尋もどうせなら胸でかい方がよくね?」
䋝田先輩はまたしても二ノ宮に変な話題をふっている。
しかも、私が話を聞いていることに気づいた䋝田先輩は、なぜか「美羽ちゃんなら小さくても大歓迎」と、さり気なく失礼なことを口にする始末。