キミとひみつの恋をして
──2時間後。
「出てきて……」
私は未だ、倉庫に1人残って探し物をしていた。
掃除は終わり、ここを担当していた䋝田先輩を始めとした部員は皆部室へ戻った。
今頃は帰る準備をしているか、すでに学校を出ているだろう。
私も早く帰りたいとこだけど、何せ落とした物がどうしても諦められないものなのだ。
「もう……どこ転がっちゃったんだろ……」
半ベソ気味の情けない声を吐きながら、目を凝らし、床の上をチェックする。
私の落とした物。
それは、誕生日に二ノ宮からプレゼントしてもらった指輪だ。
掃除していたら、うっかり落として無くしましたなんて、二ノ宮に申し訳なさ過ぎて言えない。
そもそも、いつ落としたのさえわからないのだ。
部室を出た時は確かにあった。
移動する際、ジャージの上から触れたのを覚えている。
歩きながら落とした可能性もゼロじゃないけど、かがんだり腰を折ったりした際にネックレスが胸元から滑って出てきていたから、気づかないうちに外れてしまったんだろう。
実は、最近フックの部分が緩んできているのはわかっていた。
指輪を大切に扱う為に、お風呂に入る時は外すようにしているから、毎日つけたり外したりしたのが原因なのだろう。
ちなみにチェーンは見つかってすでにズボンのポケット内にいる。
うまく転がったのか、指輪だけがないのだ。