キミとひみつの恋をして


掃除したにも関わらず、まだどこか冷んやりと埃っぽい倉庫の中、整理して棚に並べた段ボールを下ろし、焦りながら指輪が入ってないかと確認していたら、開け放たれている扉の向こうから声がかかる。


「桃原? 大丈夫?」


振り向くと、制服姿の二ノ宮が立っていた。


「掃除終わったけど、何か探して残ってるって䋝田先輩から聞いて」

「う、うん。そうなの」

「何? 手伝うよ」


そう言うと、二ノ宮は別の段ボールを下ろす。

探し物が何か。

気軽に伝えられず口を噤んでいると、隣にしゃがみ込んだ二ノ宮が首を傾げた。


「どうした?」


不思議そうに顔を覗き込まれて、私は唇を噛み締めてから二ノ宮を真っ直ぐに見つめる。


「あの……ごめんなさい!」

「い、いきなり何」


私は、驚く彼に声を小さくしながら真実を明かすことにした。


「探し物、二ノ宮からもらった指輪なの!」

「え?」


目を丸くしたままの二ノ宮に経緯を説明すると、彼は呆れたり怒ったりするどころか、頬を緩める。


「それで必死に探してくれてたんだ。サンキュー、桃原」


そうして、私の頬を軽くつねった。


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