キミとひみつの恋をして
secret.15
やはり、というべきか。
夏休みのあの日から、ある程度予想はしていたんだろう。
一条部長は私たちを見ても特に驚きもせず、一緒に来ていたらしい背後に立つ䋝田先輩に声をかけた。
「圭介、誰か来たら教えて」
「へいへい、リョーカイ」
少し面倒そうに答えた䋝田先輩は、チラリと私たちを見たけれど呆れているのか何も言わず、部長が倉庫に足を踏み入れるのを確認すると扉を閉めた。
「とりあえず2人とも離れてくれる? 話はそれから」
腕を組んだ一条部長に言われ、二ノ宮は私を抱き締めている腕から力を抜いて緩める。
私も部長の指示に従い彼の膝から降りて、2人並んで正座した。
そうしろとは言われてないけれど、空気がそうしなければいけない感じだったのだ。
冷たい床の上に座り、無言で俯く私たちに、部長はまた溜め息を吐く。
「まずは確認。いつから付き合ってる?」
……ダメだ。
ここでいつから、なんて。
話してはいけない。
明かしてはいけない。
だって、ここで正直に話すということは、掟によって私たちの関係が終わってしまうということだ。