キミとひみつの恋をして
当時、選手の1人がマネージャーと付き合っていたのだけど、そのせいでマイナスなことが多かったらしい。
練習や試合に集中しないとか、喧嘩したりすると部内の空気が悪くなり、選手たちのモチベーションに影響が及んだり、とか。
どの世代かは不明だけど、部内で浮気騒動もあったらしく、その時は本当に最悪だったらしく。
それで、これはどうにかせねばと作られたのが、恋愛禁止の掟だ。
以来、恋愛トラブルはなくなり、バスケ部の成績も良くなった、と聞いている。
実際、ここ数年の冬高男バスの成績は確かにいいのだ。
確認した二ノ宮に、部長はひとつ頷く。
「そうだね。悪影響を及ぼして、大会での成績も悪かったって聞いてるよ」
「それ。その悪影響ってやつ」
二ノ宮は強めの口調で言うと立ち上がり、言葉を続けた。
「俺と桃原が付き合ってて、今まで部に悪影響ありました?」
一条部長は、二ノ宮の質問にゆるゆると首を横に振る。
「ないかな」
「なら、俺と桃原が付き合ってたとしても問題ないですよね」
攻め気味ともいえる二ノ宮の交渉に、私はどうなるのかと不安を抱えつつも期待を込めて部長を見つめる。
けれど、部長は気押されることなく冷静に首を横に振った。