キミとひみつの恋をして
「今は、ね。内緒にしてるからか特にない。でも、今後はわからないし、掟をなくしたとして、君たちの交際を公にすれば、部員たちの反応だけでなく、君たち2人の接し方も必ず変わるだろ?」
「ちゃんとわきまえて、納得してもらえるように努力します」
2人の為に、負けじと必死に説得している二ノ宮の姿が、気持ちが嬉しくて。
甘えてられないと私も立ち上がり、部長に頭を下げた。
「お願いします! 私も努力するし、これまで以上に頑張りますから!」
だから、お願い。
私を、二ノ宮の彼女でいさせてください。
今まで通り、大好きな人を近くで支えさせてください。
──長い沈黙の後、頭を下げた私の耳に届いたのは、部長の声ではなく、扉の外にいる䋝田先輩のくぐもった声。
「とりあえずさ、俺たちの中だけで止めておけばいいんじゃね?」
部長は背後から聞こえてきた䋝田先輩の提案に、長い息を吐き出して扉を開けた。
そして、立って待っているのに疲れたのか、床に胡座をかいている䋝田先輩を見下ろす。
「圭介は元々反対派だろ。だから簡単にそんなこと──」
「でも、こいつらは本気で好き合ってるみたいだし? 今まで部は困ってなかったのは事実だ。なら、秘密にしておけばいいだけだろ」
䋝田先輩の言葉が嬉しくて、ありがたくて。
視界が涙で滲んでくると、二ノ宮の手が私の肩を抱く。