キミとひみつの恋をして
ドクン、ドクンと心臓が異常に強く、早く鼓動を打つ。
三輪君がチラリと䋝田先輩に守られている私を見て、それから二ノ宮を見るとニヤリと口角を上げた。
「そうですか? じゃ、これは? 説明してくださいよ」
勝ち誇ったように声を放ちながら、彼はジャージのポケットからスマホを取り出して、手早く操作するとある写真を表示した。
疑っていた部員たちが三輪君の手にあるスマホを覗き見る。
コート内はざわついて、結城も確認しにいくと口を開けて私と二ノ宮を交互に見ていた。
部長は深い溜め息を吐き出して、右手を額に当てる。
そして、私の肩を抱いていた䋝田先輩は、みんなが口々に零す「キス」という言葉で悟ったようで。
「お前らホント油断し過すぎ」
私を解放しながら苦笑した。
䋝田先輩の体温が離れ、放り出された感覚になる。
そして、真っ白になりかける頭に浮かんだのは、部長に言われた言葉。
『ただし、何かあった場合は……いいね?』
その何かが、今、起きてしまった。