キミとひみつの恋をして


見なくてもわかる。

三輪君が持っているのは、私と二ノ宮がキスしている写真で、もう……誤魔化しなんてきかない状況に立たされてしまったのだ。

ざわつきの収まらない館内で、一条部長は「そうか」とだけ静かに口にする。


「掟では、恋愛は禁止ですよね?」


三輪君が得意そうに話せば、部長が小さく頷いて。


「二ノ宮、桃原さん」


私たちの名を呼んだ。

二ノ宮も私も、短く返事をして部長を見る。


「ウインターカップも近いし、練習試合も多くなる。今はどうしても二ノ宮の力が必要だから、2人のことはウインターカップ後に決めるよ」


部長の言葉であれば、それに逆らう者はいない。

けれど、三輪君は気に入らないようで、部長に食ってかかった。


「なにそれ。そんなの馴れ合いの判断じゃん。きちんと処分してくださいよ」


その厳しい意見は、どうも三輪君だけが思っているだけではなさそうで、他の部員の中にも賛成者がいる雰囲気だった。


< 151 / 240 >

この作品をシェア

pagetop