キミとひみつの恋をして
見なくてもわかる。
三輪君が持っているのは、私と二ノ宮がキスしている写真で、もう……誤魔化しなんてきかない状況に立たされてしまったのだ。
ざわつきの収まらない館内で、一条部長は「そうか」とだけ静かに口にする。
「掟では、恋愛は禁止ですよね?」
三輪君が得意そうに話せば、部長が小さく頷いて。
「二ノ宮、桃原さん」
私たちの名を呼んだ。
二ノ宮も私も、短く返事をして部長を見る。
「ウインターカップも近いし、練習試合も多くなる。今はどうしても二ノ宮の力が必要だから、2人のことはウインターカップ後に決めるよ」
部長の言葉であれば、それに逆らう者はいない。
けれど、三輪君は気に入らないようで、部長に食ってかかった。
「なにそれ。そんなの馴れ合いの判断じゃん。きちんと処分してくださいよ」
その厳しい意見は、どうも三輪君だけが思っているだけではなさそうで、他の部員の中にも賛成者がいる雰囲気だった。