キミとひみつの恋をして
朝練中、自分の仕事をしながらも突き刺さるような視線を感じていて、このままではダメだと痛感していた。
だって、これじゃあ過去に掟ができたきっかけの通りだ。
同じようにはならないと、そう口にしたのに。
だからチャンスをくださいと。
なのに、あれからまだひと月も経たず、危惧していた道を辿っているだなんて。
しかもそれが、自分たちの油断のせいで。
後悔がないといえば嘘になるけれど、それはあとでもできる。
今は、部長に見られた時よりも更に最悪なこの状況をどうにかしないとならない。
このままじゃ、みんなのモチベーションに影響するだろうから。
悩みながら転がるボールを拾い歩いていると「桃原先輩」と、後輩2人に声をかけられた。
「は、はい」
私はうつむきかけていた顔を上げて2人と向かい合う。
彼らは最近、三輪君とよく一緒にいる2人だ。
三輪君ほどではないけれど、部の中では少し問題児だったりする。
入部したての頃はそうでもなかったんだけど、夏休み明けからやる気が見られないというか……
䋝田先輩は、多分辞めるんじゃないかと予想していた。
その2人が、私を見ながら嫌な感じの笑みを浮かべている。