キミとひみつの恋をして
【気をつけて帰って。夜、連絡するよ】
ひとりぼっちの帰り道、LINEに送られてきた二ノ宮からのメッセージに目を通すと、私は一度足を止めて了承の返事を送った。
そうしてまた、駅を目指して重い足取りで歩く。
空はすでに日が落ち、藍色の空には星が柔らかく瞬いていて。
私がそれをぼんやりと眺めてゆっくりと足を進めていた時だった。
「マネージャー」
背後から声がかかり、私は肩を震わせる。
全身が警戒するように硬くなって、私は再度足を止めると振り返った。
視線に入ってきたのは、笑みもなく、ただ私を視界に捉えている三輪君の姿。
「元気ないね。僕のせい?」
単刀直入に言って、私へと歩み寄る。
「……どう、かな」
違うよ、なんて。
お世辞にも言えないし、きっと本人もわかって口にしているから、私は濁しながら視線を夜に冷えた足元に落とした。
直後、三輪君は自嘲気味に笑う。
「僕のせいだよ。でも、謝らないから」
「謝ってほしいなんて思ってないよ。二ノ宮も」
「……あっそ」
二ノ宮の名前を出した途端、三輪君は不機嫌な顔で私の横を通り過ぎた。