キミとひみつの恋をして
そのまま見送るのはおかしい気がして、私は彼の半歩程背後を歩く。
「三輪君、あれから体調はどう?」
尋ねると三輪君は横目でチラリと私を見た。
「はっ……もう、アンタってバカだよね。僕の体調なんて気にしなくていいよ。余計なお世話。アンタは自分のことだけしっかりやって。僕のせいで倒れるとか迷惑だから」
じゃあね、と無理やり扉を閉めるように会話を終わらせると、彼は速度を早めて離れていく。
……よく、わからないけれど。
三輪君にとって大事なのは、二ノ宮を追い出すことなのだというのはハッキリした。
多分彼からすれば、私はおまけなのだ。
二ノ宮という、彼のバスケを邪魔する人を排除する為のおまけ。
そして、利用されている。
私が……二ノ宮の、足枷になっているのだと思わされざる得ない。
改札を通る足取りは先程よりも重い気がする。
2番線。
黄色い線の内側に立てば、相変わらずこの時間のホームは人で溢れている。