キミとひみつの恋をして

secret.3



放課後、活気溢れる体育館内に、キュッキュッと小気味のいいスキール音が響く。

今日は部内での紅白戦を行なっていて、現在、レギュラーを相手に1年チームが奮戦中だ。

それを厳し目で見つめる監督が声を飛ばす。


「1年! もっと積極的に動け!」


レギュラーにはシューティングガードに一条部長、スモールフォワードには副部長の䋝田先輩、そして、二ノ宮もポイントガードとして入っている。

このアウトサイドの3人は全国レベルの選手なので、まだ入部して間もない1年の中には、戸惑いながらプレーしている姿も見てとれた。

今も、パスに迷いがあり、そこを二ノ宮につかれてボールを取られてしまったところだ。

しかもそのままシュートを決められ、1年チームが悔しそうな表情を見せる。

……1年チームには申し訳ないけど、今の二ノ宮のプレイはかっこよかった。

ボールを奪ったテクニックも、シュートを放った時の表情も、キラキラのフィルターがかかったように見えるくらいだ。

心を鷲掴みにされ、ドキドキしながら得点を書き込んでから、再び二ノ宮の姿を目で追う。

すでに第3クォーターも半ばを過ぎているけれど、まだ体力は残っているようだ。

二ノ宮の弱点はスタミナがないことだと、以前本人が言っていた。

相手が強豪であればあるほど積極的に動く事が多くなる彼は、いつも後半から動きが鈍くなる。

なので、部長や監督からはペースを気にするようにと指摘されていて、二ノ宮も気をつけているようだ。

そして、二ノ宮と同じようにスタミナ不足に陥りやすい選手がもう1人。


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