キミとひみつの恋をして
今日は日曜日。
1週間の中で二ノ宮とゆっくり過ごせる唯一の1日だ。
けれど、部内にバレてからは……実は、会っていない。
二ノ宮と話し合った結果、しばらくは2人で会うのもやめようということになったのだ。
もしまた会っているところを見られたら、例えキスをしていなくても印象が悪くなるのではという判断からだった。
その代わり、電話でたくさん話をしようと約束をしていて、私たちは昼食後から数時間、とりとめもない会話をスマホ越しにしているのだ。
そして、今日も昼食を済ませた私はスマホを操作して彼からのメッセージが入っているからを確認する。
【ごちそうさま。桃原のタイミングでいいよ】
すでに食事を終えていたらしく、私は洗い物をしている母親に部屋に戻ると伝えて階段を登った。
向かいの部屋の住人である兄は、すでに出かけていて不在だ。
扉が開けっ放しになっている兄の部屋を横目に見て、私は自室に入ると扉を閉めた。
私の部屋は白い家具を基調にしていて、なるべくすっきり見えるようにしている。
でも、棚の上には雑貨が置かれていてごちゃごちゃしていてプラマイゼロな感じは否めない。
薄手の羽毛布団が広がるベッドに腰を下ろすと、再びスマホに二ノ宮の名前を表示させた。
そして、深く静かに深呼吸する。
悲しい気持ちに、流されない為に。
二ノ宮と話していると決心が鈍るのだ。
別れると、そう決めたのに。
彼と会話している間に心が少しずつ揺らいでしまう。