キミとひみつの恋をして


『お腹は膨れた?』

「オムライスを堪能しました」

『いいね、オムライス』


機械越しの二ノ宮の声は明るい。

例えそれがカラ元気だとしても、この時間で少しでもリラックスしてもらえればいいなと、私もまた普段通りに声を出す。


「そういえば、文化祭まであと2週間だね」


ここのところ、部内で気を使う事が多いからそっちに意識を持っていきがちだけれど、10月に入ってから校内は文化祭に向けて動きを見せていた。

すでに各クラスでの出し物も決まり、準備が進んでいる。


「二ノ宮のクラスは何するんだっけ?」

『うちはオークション。先生が大切にしてる万年筆とか、䋝田先輩とのデート券とか出るよ』

「お、䋝田先輩とのデート券て……」

『高額で売れるはずだからって、クラスの奴に交渉頼まれたんだ』

「で、OK出たのね」

『ソッコーでね』


や、もうさすが䋝田先輩というべきか。

こういう時にノリがいいのは助かるんだろうけど、好きでもないどころか初めましての子が落札したら、気まずいだろうに。

……いや、䋝田先輩にはいらない心配かも。

なんせナンパした初めましての子と楽しめるくらいなんだから。


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