キミとひみつの恋をして


「思ったより時間かかっちゃった」


制服のプリーツスカートを翻し、ぼやきつつ教室を出て、文化祭で賑わう校内を小走りしながら部室へと向かう。

キリのいいところで手伝いを終えようと思ってたのに、気づけばオープニングギリギリの時間となっていた。

男バスの出番は午後からとはいえ、女バスが試合している間は応援に回ったりウォームアップしたりと、選手たちも忙しい。

私が遅れることで迷惑をかけてはいけないと、部室に辿り着いた私がノックしようと手の甲を扉に近づけた時──


「誰もいないよ。みんな体育館で整列してる」


部室棟の廊下の向こうから、ジャージ姿の三輪君が現われた。


「そ、うなんだ。三輪君はどうしてここに?」

「……忘れ物したんで」


笑みも浮かべず無表情で答えて、三輪君はツカツカと私の元まで歩いてくると、ドアノブを捻って扉を開ける。

そして自分はそこから動かずに「入れば?」と、私に先に入るように促した。


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