キミとひみつの恋をして
「う、うん」
ありがとうと続けた直後、バタンと扉が閉められて。
別に鍵をかけられたわけではないのに、なぜか……無情にも閉じ込められたような、そんな気持ちになる。
もしかしたら、以前彼によって倉庫に閉じ込められたからだろうかと、変に疑わないようにしていたつもりが。
「何? 何か怪しんでる? それとも警戒してる?」
三輪君にはすでに伝わってしまっていたようで。
彼は扉に背を預けながら腕を組むと、ニヤリと口の端を上げた。
そして、その可愛いらしい顔を不釣り合いなまで意地悪そうに歪ませて。
「例えば、二ノ宮先輩のバッシュがまたボロボロにされるかも、とか」
「えっ……」
部長と、私と、二ノ宮しか知らないことを、口にした。
なぜ。
なぜ、三輪君が。
そう驚愕しつつも、わずかに残る冷静な自分が告げる。
そんなの決まってる。
三輪君がやったからだよ、と。
「私物に手を出されたのに、めげないとかどんだけ図太いんだろあの人」
バカにしたように辛辣な言葉を吐き捨てる彼を、私はどんな目で見ていたのか。
……きっと、疑いの眼差しを向けていたのだろう。
それは、ほんの僅かなものだったかもしれない。
でも、三輪君には十分すぎるほど感じ取れたようで。
彼は私の心の中を覗くかのように目を細める。