キミとひみつの恋をして


「う、うん」


ありがとうと続けた直後、バタンと扉が閉められて。

別に鍵をかけられたわけではないのに、なぜか……無情にも閉じ込められたような、そんな気持ちになる。

もしかしたら、以前彼によって倉庫に閉じ込められたからだろうかと、変に疑わないようにしていたつもりが。


「何? 何か怪しんでる? それとも警戒してる?」


三輪君にはすでに伝わってしまっていたようで。

彼は扉に背を預けながら腕を組むと、ニヤリと口の端を上げた。

そして、その可愛いらしい顔を不釣り合いなまで意地悪そうに歪ませて。


「例えば、二ノ宮先輩のバッシュがまたボロボロにされるかも、とか」

「えっ……」


部長と、私と、二ノ宮しか知らないことを、口にした。

なぜ。

なぜ、三輪君が。

そう驚愕しつつも、わずかに残る冷静な自分が告げる。

そんなの決まってる。

三輪君がやったからだよ、と。


「私物に手を出されたのに、めげないとかどんだけ図太いんだろあの人」


バカにしたように辛辣な言葉を吐き捨てる彼を、私はどんな目で見ていたのか。

……きっと、疑いの眼差しを向けていたのだろう。

それは、ほんの僅かなものだったかもしれない。

でも、三輪君には十分すぎるほど感じ取れたようで。

彼は私の心の中を覗くかのように目を細める。


< 190 / 240 >

この作品をシェア

pagetop