キミとひみつの恋をして
……ああ、なんて私はタイミングの悪い女なのか。
さっさと行動していれば、三輪君に利用なんてされなかったのに。
後悔先に立たず。
ついに背中には灰色のロッカーがぶつかり、私は追い詰められ逃げ場を失った。
手を伸ばせば届くほどの距離にまで迫った三輪に、私の心臓が狂ったように打ち鳴らされていく。
逃げようと、ロッカーを背にしたまま左へと移動したけれど、過度にかかる緊張に足がよろめいてしまった。
それにより、私の動揺が伝わったのだろう。
三輪はうっそりと笑い、唇を動かした。
「あんたが傷つけば立ち直れなくなって試合放棄するかな?」
恐ろしいことを口にした途端、彼の手が私の腕を乱暴にわし掴んで引くと、そのまま床に押し倒され、抗議の声を上げる間も無く乗りかかられた。
彼の手は私を逃すまいと、両肩を押さえつけている。
痛くて、怖くて。
はく、と唇を動かすも声が出ない。
一拍おいて、どうにか「やめて」と絞り出した声は震えていた。