キミとひみつの恋をして
傷ついて、後悔して。
ただ、それだけだ。
「全部、壊してやりたい」
でも、三輪君の頭にあるのは二ノ宮への憤りだけ。
怒りに狂って、何も見えないのだ。
私の声も、もう届いてないようで、その手をスカートの中に隠れている腿に這わせながらぶつぶつと声を零す。
「二ノ宮先輩の大切なものを全部、壊す」
「三輪く、ん! やめてっ……」
ギュッと目を瞑り、足をバタバタと動かして抵抗するも、彼はそれさえも反応せず喉で笑いながらまた私の耳に唇を近づけて。
「そうして、アンタは俺のものに──」
身勝手すぎる言葉は、続くことなく突如途絶える。
三輪君のうめき声に重なって聴こえてきたのは、よく知っているけれど、冷たい声。
「三輪、桃原から離れろよ」
低く抑えた声が室内に響く。
「三輪、どけ」
再度言われて、三輪君は唇を噛み締め、蹴られたのか脇腹を抑えながらゆっくりと私から離れた。
かかっていた体重がなくなり、けれど未だ残る恐怖に動けない私の傍に……
「桃原、大丈夫?」
二ノ宮が、片膝をついて心配そうに顔を覗き込んだ。