キミとひみつの恋をして
secret.21
何が起こったのか。
肘を抑える二ノ宮から、急ぎ視線を動かして三輪君を見れば、呆然と立ち尽くす彼の手には折り畳まれたパイプ椅子があった。
「み、わ……君……」
背を丸める二ノ宮と三輪君が持つ硬い椅子。
もしや。まさか、と。
混乱しながらも名を呼ぶと、三輪君はビクッと肩を跳ねさせてから、パイプ椅子を床に落とした。
「あ……あ。ぼ、く……何を……」
衝動的にやってしまったのか。
三輪君はようやく我に返り、信じられない様子で目を泳がせている。
やがて、この状況に耐えきれなくなったのか、逃げるように部室を飛び出してしまった。
「三輪君!」
呼び止めようと声を荒げれば、二ノ宮の声に制止される。
「いい……行かせてやって」
いつもよりも弱い声で言って、痛みに顔を歪めた二ノ宮の隣に膝をつく。
「肘見せて」
バスケができないほどの怪我なのか。
もしそうであれば、どうしたらいいのかと不安に心が押しつぶされそうになる。
とにかく、まずは状態を確認しようと手を伸ばしたけど、二ノ宮は頭を振った。