キミとひみつの恋をして
二ノ宮の肘は内出血をして、青く変色し、腫れ上がっていた。
ただの打撲には見えなくて、私は二ノ宮を見る。
彼は「あと残り2分だから、出たい。冷やして」と淡々と言い、私は唇を噛んでスプレーを吹き付けた。
本当なら、ダメだよと、そう言いたい。
でも、多分……二ノ宮は、今後しばらくバスケはできないかもしれないと思うと、止めることなんてできなかった。
「ありがとう、桃原」
「うん……うんっ、頑張って」
「うん」
頑張るよと、綺麗な笑みを浮かべた二ノ宮に、私はうまく笑みを返せただろうか。
苦しくて、切なくて。
泣きそうになるのを堪え、コートを走る二ノ宮を見つめる。
残り2分。
その間、二ノ宮は右肘の痛みに負けず、精一杯走り、パスし、シュートを決め……招待校との点差は大きく開いたのだった。