キミとひみつの恋をして
ハーフタイムに入ると、ベンチに座る監督から怪我の具合を見せるように言われ、二ノ宮は仕方なくサポーターを外す。
そして、その症状を目の当たりにした部員たちはざわついた。
監督が深い溜め息を吐く。
「お前……何してんだ」
この大事な時期に。
なぜこんな怪我を。
続けた監督の声が虚しく響く。
部長も思わず額に手を当て、苦虫を噛み潰したような顔をした。
黙って見ていた䋝田先輩が口を開く。
「部室に戻った時に、なんかあったんだろ」
その指摘に肩を縮めたのは三輪君だ。
それを䋝田先輩は見逃さなかったようで。
「三輪、お前は知ってるだろ?」
静かに、けれど威圧するような声で問いかける。
三輪君は答えない。
黙って、自分の足元を見つめるだけだ。
すると、䋝田先輩の視線が今度は私へと注がれる。
「美羽ちゃん。話せる?」
問われて、私は緩く首を横に振った。