キミとひみつの恋をして


二ノ宮が言わないから、というのもある。

でも、こんな大勢の前で襲われたなど、恥ずかしくて言えないのもあった。

なんで、こんなにも上手くいかないのだろう。

私が全部背負うと、そう、心に決めたのに。

二ノ宮は怪我をしてしまうし、私が襲われたことも、彼の心に重くのしかかっているかもしれない。

恋をしただけ。

でも、その恋は響きは甘く、柔らかだけれど、いざ落ちてみれば耳障りがいいだけではないと思い知らされる。

でも、それでも。

恋をしたから、強くなれた。


「まあいい。二ノ宮はあとで必ず病院行け。で、二ノ宮の代わりだが──」


話しながら、監督が選手に視線を走らせた時。


「三輪に、やらせてください」


二ノ宮が、ハッキリとした声で願い出た。

みんな目を丸くしたけど、一番驚いたのは三輪君だったようで、信じられないものを見る顔で、二ノ宮を凝視している。

一番初めに戸惑いの声を上げたのは結城だ。


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