キミとひみつの恋をして
ちょっと嬉しくて、頬が緩みそうになる。
けれど、ここでニヤニヤしたら三輪君に気持ちを悟られてしまいかねないので必死に平静を保った。
「まあ、それはさておき。チームが強くなるのはいいことだし、私は三輪君のこと応援してるよ」
声にしたのは紛れも無い本音だ。
二ノ宮が活躍するのは嬉しい。
でも、私は、うちの男バスが強くなって優勝する姿を見たいのだ。
その為に部員が強くなるのは大歓迎だし、私も協力は惜しまない。
三輪君は私の回答にわざとらしく息を吐き出す。
「はいはい、桃原先輩はマネージャーの鏡だね」
……どうやら私の応援はお気に召さなかったらしい。
三輪君は、痛めた自分の指を見つめながら零す。
「はー……いっそ、怪我でもしてくんないかなー」
不穏な言葉に、立ち上がりかけていた私はボブカットの髪を揺らし、彼を見た。
「三輪君、そういうこと言うのはどうかと思うよ」
思ったよりも少しきつい声色になってしまったけれど、三輪君は気にした様子もなく。
「じょーだんだよ、半分は」
「半分!?」
「ハハ、怒ってる」
「もう!」
私をからかい、楽しんだ。
この子、本当、ちょっと生意気だな。
めちゃくちゃ悪い子ってわけでもないから、邪険にすることはないけど、正直、少しだけ絡みづらい、かも。
心の中で呟いて、私は苦笑いしながらまた記録に戻ったのだった。