キミとひみつの恋をして
「ところで二ノ宮。これから一緒に文化祭まわろう」
当然、二ノ宮は驚いて目を丸くした。
「え、と……結城と3人で?」
「じゃなくて、私と2人で文化祭デート」
私のその誘いに、さすがの二ノ宮も度肝を抜かれたようで、驚きのあまり声にならないのか、口を金魚のように動かす。
本当なら、昨夜約束をしても良かった。
でも、いつもLINEや電話でのやりとりが多いから、今日はちゃんと顔を見て誘いたいと思ったのだけど……
こんな二ノ宮の姿を見られるのは珍しいし、直接誘ったのは正解だったかも。
「後夜祭の花火も一緒に見ようよ」
更に畳み掛けると、戸惑いを深め答えあぐねている二ノ宮の隣り立つ結城が、ベビーカステラの串を口に咥えながら、その背中をバン、と叩く。
「可愛い彼女のお誘いだぞ。行ってこいって」
「い、いやいや、そんなことしたら掟のこともあるのにヤバイだろ」
焦り首を振る二ノ宮に、結城は得意げな表情を浮かべた。
「それが、大丈夫になったんだよ」
なあ、桃原。
結城が私に同意を求めると、二ノ宮が訝しげな顔をして私を見た。