キミとひみつの恋をして
「……何で? 掟がなくなるの?」
「掟はなくならないよ。でも、今日だけ、みんなから許可をもらえたんだ」
正直に、けれど「なぜ」の部分は隠したままで答えると、結城が加勢してくれる。
「そうそう。今日はどんだけイチャついても、俺らは生ぬるーい目で見守るから、何も気にせず楽しんでこい!」
けれど、まだ困惑している二ノ宮は「お前、行きたいとこあるから誘ってきたんじゃないのかよ」と結城に尋ねた。
「あー、それな。実は、チーくんが他のやつと約束しないようにキープしといたんだよ」
へらっと笑った結城は、私を見て微笑む。
「桃原、誘ってる感じなかったから心配になってさ」
どうやら結城に気を遣わせてしまったようだ。
私は申し訳なく思い、そっと両手を合わせた。
「ごめん。ちゃんと顔見て誘いたくて」
「かなーと思ってたよ」
やれやれと肩を竦めた結城に、私はありがとうと伝える。
そうすれば、結城は「じゃあな!」と元気良く人波の中に消えていった。