キミとひみつの恋をして


「……何で? 掟がなくなるの?」

「掟はなくならないよ。でも、今日だけ、みんなから許可をもらえたんだ」


正直に、けれど「なぜ」の部分は隠したままで答えると、結城が加勢してくれる。


「そうそう。今日はどんだけイチャついても、俺らは生ぬるーい目で見守るから、何も気にせず楽しんでこい!」


けれど、まだ困惑している二ノ宮は「お前、行きたいとこあるから誘ってきたんじゃないのかよ」と結城に尋ねた。


「あー、それな。実は、チーくんが他のやつと約束しないようにキープしといたんだよ」


へらっと笑った結城は、私を見て微笑む。


「桃原、誘ってる感じなかったから心配になってさ」


どうやら結城に気を遣わせてしまったようだ。

私は申し訳なく思い、そっと両手を合わせた。


「ごめん。ちゃんと顔見て誘いたくて」

「かなーと思ってたよ」


やれやれと肩を竦めた結城に、私はありがとうと伝える。

そうすれば、結城は「じゃあな!」と元気良く人波の中に消えていった。


< 220 / 240 >

この作品をシェア

pagetop