キミとひみつの恋をして
「綺麗だね」
二ノ宮の声が、花火がパラパラと散る音に重なる。
「うん。一緒に見れて良かった」
答えると、新しい花火がいくつか連続で夜空を彩り、校庭の方から歓声が聞こえた。
ふと、夜空に向かっていた二ノ宮の視線が私を捉えて。
「……来年は?」
「え……?」
視線の端にいた彼を見やれば、その瞳はひたと私を見つめていた。
「来年は、見れると思う? 合宿の花火も、文化祭の花火も一緒に」
問われ、私は喉がつかえたように声を出せなくなる。
終わりを前に、その質問はとても意地悪で。
そして、以前は前向きに考えていたはずの話をこうして話すのは、やはり気づいているのだ。
二ノ宮が弱々しく、頼りなさげに微笑む。
「見れないんだろ?」
その言葉に、私は二ノ宮と目を合わせ続けることが叶わず、俯いて。
瞼を閉じ、花火が次々と打ち上がる音を聞きながら……
呼吸を止め、こくんと、頷いた。
頷いて……しまった。