キミとひみつの恋をして


「桃原!」


今日1日、聞きたくてたまらなかった声に呼び止められて、私は息をするのも忘れ振り返る。

そして、私へと近づいてくるTシャツとスウェット姿の彼に、心臓がドキドキと強く反応を示した。

ちゃんと乾かしてないんだろう。

まだ少し濡れた髪が、なんだかセクシーでいつも以上に意識してしまう。


「桃原も風呂上がり?」

「う、うん」


二ノ宮もでしょ?

髪の毛、まだちょっと濡れてるよ。

そんな風に返せばいいのに、言葉がうまく出てこないのは、彼がお風呂上がりというレアな姿なのと、ようやく会えたのが嬉しいからだ。

友達が、先に部屋に戻るねと言って廊下の向こうに消えていく。

二ノ宮の友達も彼の背後から声をかけてきたけど、二ノ宮が先に戻っててと話し、見送った。


「今日、どのコースだった?」


問われて、私はまだ少しドキドキしながら答える。


「ふれあいコース」

「あ、やっぱりか。俺もそっちにするべきだったかなー」


失敗したなと零した二ノ宮。

もしかして生き物好きなんだろうか。

友達の付き合いで別のコースにしたのかもしれない。


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